札幌で食べためんのあれこれ
札幌で滞在した何日間。延々とめんを食べ続けた。観光客、札幌地元民それぞれに有名な店は基本的に避けて、街の片隅にある普通の麺屋をぼちぼち回ってみようと思ったのだ。だから、事前に調べて行ったわけではなく、ほとんど行き当たりばったり。駅を降りたらそこにある店に入ったという感じ。グルメ記事には程遠いのでご用心。
新札幌駅 高架コンコースにある龍竜の味噌ラーメン
札幌は基本的にラーメンの値段が高い街だ。幸楽苑や日高屋、王将などの低価格チェーン店に慣れていると、なぜラーメンがこんな値段だと憤慨することが多い。おまけに値段が横並びなので(だいたい750円から800円)、高い店はそれなりにうまいだろうという予測もつかない。逆に言うと、不味い店でも同じ値段、ぼったくるのだから始末に悪い。そういう基礎教養を身につけて「ラーメン」に挑まないと、札幌では欲求不満が募ることになる。
で、この店だが平均的な味で平均的なラーメン。お店のイチオシは辛ネギらしいが、普通の味噌ラーメンを食べると想像がつく。特に気張ったメニューがあるわけでもないので、仕事の日のお昼に食べると、ああ、ラーメンってこんな感じという安定感はある。会社が近くなら月に一度は食べに来るかもしれない。ちなみに「お麩」が載っているのは札幌ラーメンではほぼデフォルト。そういう意味で、懐かし系のお店なのだと思う。
新札幌駅隣のショッピングモール地下 まんじ醤油屋本店の中学生セット
醤油ラーメン(セットラーメンは煮卵なし)
レトロな白黒テレビ。当時は、確かにこれでウルトラマンを見ていた。
ウルトラマンの怪獣を天然色(当時はカラー映像をこう言っていました)
で記憶しているのは、再放送で見た「上書き」記憶なのだろうな。
小鳩ラーメンが、初代創業者の味
二代目も醤油ラーメンを現代風に開発したとのことお
これはちょっとした変化球のお店で、平成生まれの大人が増えてきたこの時代に昭和レトロをぶつけるのは全くアリな作戦だ。昭和40年台のお茶の間再現的な店内。メニュー名の絶妙さが目立つのが特徴で、アルミの弁当箱に入ったのり弁(海苔は二段)が付いたセットメニューが秀逸。昔、空知の炭鉱そばにあった食堂で人気だったラーメンを再現したとのこと、トッピングの「お麩」と「赤い渦巻きの入ったナルト」が、昭和のトレードマークだ。そして、誰がなんと言おうと、メンマではなく支那竹(シナチク)が主張している昭和のラーメン。鶏ガラ出汁のスープに脂がプカプカ浮いているのもお約束を裏切らない。普通に美味しいと思うが、平成人にはちょっと物足りないかもしれないシンプルな味付け。(東京の中華そば、支那そばとは明らかに違うけれども)
幸楽苑の言い分?『ラーメンがごちそうだった頃』というのが当てはまる味だ。
地下鉄大通 コンコースに隣接する 遊亀の納豆そば
この店は、札幌のそばチェーン店なのだけれど、大体の店はロードサイドに大きな看板を上げているファミレススタイルの店だ。ファミレススタイルだからメニューがやたら多くて、注文するのに迷う怒涛のセット提案が特徴だと思っていたら、街中の小ぶりな店のためか、思っていたよりシンプルで。客層が隣のデパートで買い物してきたと思しき女性ばかりなので、それも納得。ごまそばというのは、そばの中にごまをすりおろしたものを練りこんでいる、いわゆる変わりそばなのだけれど、これが結構気に入っている。もう一軒「八雲」というチェーンもあるので、普段はそちらを使っているが、ごまの香りが強いのは八雲。こちらはどちらかというとおとなし目のそばになる。
さて、納豆そばであるが、冷たいそばでその特徴は、実は納豆ではなく、卵の黄身ではないかと思っている。キュウリの細切り、海苔、大根おろしなどをぐちゃぐちゃと混ぜる。卵の黄身が全体に絡んだところで、上からつゆをかけススッとすするのではなく、モグモグと噛む。ま、、そんな変わったそばだ。そばの香りが・・・とか、喉越しが・・・とかいう形容詞は全く当てはまらない。最後に蕎麦湯を入れると、白く濁ったつゆがなんとも言えない。この手の納豆そばは、札幌特有のものではないかと思う。北海道には釧路に本店がある「東屋」系のそばもあるが、こちらはもう少し正統的?なので納豆そばを食べた記憶がない。
ごまそばを純粋に楽しみたい方は、もりそばに限ります。
千歳空港 白樺山荘の味噌ラーメン
これがいまどきの(平成の)味噌ラーメンスタンダードらしい。「オフ」も「支那竹」も入っていない。スープはガツンとくる系の力強いもので、味噌の味がこれまた強い。おそらく甘味噌系と塩辛い味噌のブレンドなのだろう。味噌ラーメンで有名な「すみれ」の光景と言って良い。すみれと違うのは表面の油が少ない、キクラゲが載っている、炒めもやしは少なめ。確かに、ラーメンは進化するのだなと思うわせる変化系だけれど、やはり札幌系ラーメンの一族であることは確かなようだ。キクラゲが良いアクセントで、妙に餃子押しをしないところが、正しいラーメン屋であるという気がする。(まあ、場所柄、餃子で席の回転率を落としたくないとうことかもしれないけれど)
個人的には隣の店「けやき」よりも好み。海老そば「一幻」も好きなのだけれど、混雑しすぎだから。しみじみ、今の札幌の普通のラーメンという感じがする。
札幌駅北口 味の時計台の味噌ラーメン 追加のり
最後は、札幌発のチェーンラーメン店で三大勢力のうち最強?の「味の時計台」で、味噌ラーメン。多分この店は醤油ラーメンが本命だと思うけれど、街中にある数店はみんな観光客押しのため、メニューが多角化複雑化し、トッピングが増えすぎ、餃子などのセットメニューが膨大で・・・・、というわけでラーメン屋なのかどうかわからなくなっているというのが実感。その上、中国語表記などが載っているから、観光客(含むインバウンド)的なお店になっている。当然、味など期待してはいけないと思う。
ところがだ、札幌駅北口という微妙なロケーションのせいか、素直にうまい。確かに化学調味料はたっぷり使われているが、個人的には無化調を絶賛しているわけではないので、これはアリだなというか、ちょっと安心した。
味の時計台は後発チェーンなので伝統的なトッピングではないが、それでも良い。そもそも味噌ラーメンにモヤシ炒め大量に載せるのは、あまり好きではないし。掟破りで海苔トッピング追加してみたが、至極満足である。
ちょっと油多めの味噌味が、なんとも北海道感出している。札幌駅付近にはエスタ上のラーメン共和国(現代風)、パセオ地下、国際ビル地下(昭和風)などラーメン屋も多いが、案外この札幌駅北口の店は普段使いに良いのではないか。
お腹に悪いラーメン連発の旅だった。反省しきり。
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