惣菜売り場のフードコート化 スーパー ヤオコーの挑戦

「日経MJ紙 2017年4月17日」の記事に載ったヤオコーの実験店を視察してきた。以下はその論点整理。

1 ビュッフェ・バイキング形式弁当の売り方見せ方
・100gあたり100円という低価格な価格設定。
・そのため、飯、麺など150g以上購入するという縛りがある。
・野菜料理とデザートの種類が多く取ってある。肉系おかずは味付けが濃いめ。
陳列は、「飯・麺」→「揚げ物などの肉・魚」→「野菜惣菜・サラダ」→「デザート」→「重量チェック・価格シール」→「惣菜レジで会計」という一方通行。
備え付けの弁王箱にぎっしり入れると、500−700円程度になるようだ。
味噌汁がサービスで提供される。
オリジン弁当などの量り売り惣菜と比べて安価である。カツや天ぷらなどの重量級惣菜は別売りであり、感覚的には「幕内弁当を詰め合わせする」ような品揃えだ。
品揃え自体はもう少し工夫が必要。特におかず。惣菜は同系統の味付けのものがあり、色目の悪い(全体が茶色く見える)部分が、RF1あたりの高級惣菜と比べ見劣りする。

2 オープンキッチンでのオーダー後製造する丼とサンドイッチ
フードコートに面した場所で注文、受け取りするので、会計周りのサイネージ、POPなどの工夫で、テンポ感を醸成することができる。だが、現状では非常に中途半端な造作、売っているものがわかりにくいなど、フードコート店舗化は失敗している。メニューのバリエーションと見せ方の改良で戦闘力は十分であると思うが、原稿は厳しい状態である。

3 フードコートで食べる惣菜の位置付け
フードコートのテナントを補完する形で、商品が構築されるかどうかがポイントであるが、その点はまだ調整中であるようだ。フードコート出店の場合の弱点、特に野菜やデザートを補強する形であれば相乗効果が上げられる。また、野菜調理品・サラダのドレッシングの提供種類増加など、改良する余地は大きい。

4 フードコートのテナントミックス
ハンバーガー ロッテリア、 讃岐うどん はなまる、 ラーメン 幸楽苑、たこ焼きとスナックの4店舗が営業中。フードコートの骨格を抜き出したようなラインアップ。肉系の重食を排除し、またバラエティも諦めたところが潔い。マクドナルド、丸亀製麺、リンガーハットの最強ブランドも不在だ。
意図して肉系ブランドを排除し、そこを自前のキッチン製造メニューで補完しようという趣向であれば納得できる。しかし、補完できるだけのメニュー力があるか、バリエーションがあるかというと疑問。提供メニューは海鮮丼、カツ丼、天丼、サンドイッチであり、カツや、天や、サブウェイが提供する領域だが、どうにも提供メニューが少なすぎる。
もう二段階くらいのブラッシュ雨アップが必要であるようだ。

 全体的に、イオンのイオンスタイル店舗を念頭に置いた開発であるようだ。惣菜の量り売りについては、この先も様々な挑戦と改良が続くことは予想できる。イオンがオリジン弁当を吸収して始めた「量り売り商売」がうまくいっているようには見えないが、ヤオコーがその改良版をフォーマットとして完成できるかどうか。おそらく、この店を一見場として継続的な改良作業が続けられると思う。しかし、価格と提供商品のバランスをどこに置くのか、その見極めはまだまだのようだ。ららぽーと富士見での実験と挑戦が量産モデルとしてこの川越で完成できるかどうか。

RF1・柿ヤスのような高級惣菜コンセプトとスーパーの日常惣菜の中間点に着地できる場所があるかどうかの見極めだ。そして、そこの場所は既存ファーストフードと価格帯で競合できる中級テイクアウト市場の取り込みも視野に入る。
外食にたずさわる者にとって、しばらく定点観測が必要な実験店舗であると思う。

フードコートへの適性と魅力ある惣菜売り場というに方向を同時に追いかけている印象がある。フードコートの活用についてはまた別途の機会に述べてみたい。



弁当のビュッフェで、好きなものを詰める。これで360円だった。チャーハンは160g、惣菜おかずが200gになる。

惣菜売り場の厨房はオープンキッチンだが、ららぽーと富士見での、両サイドにキッチンを並べてその通路に商品展示という賑やかなスタイルとは異なる。
厨房で製造した、丼やサラダをそのままで販売。ファーストフード的な販売形態を志向するようだ。


通路を広く取った惣菜スペース。カテゴリー別に分類しているが、ベーカロート合わせての面展開。陳列棚は低層で見やすい。POPの掲示は技術不足。今後の課題だが、一番問題なのは商品の説明が足りないこと。見たらわかるでしょうとい態度では、売れるのは特売のコロッケくらいしかないでしょうということに成る。






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